5月1日 ミッドランド(Midland)のロデオ大会(Rodeo Competition)
ミッドランド(Midland)のロデオ大会(Rodeo Competition)
ミッドランドはパースから内陸方向に十数キロ離れた古い町で、パースから出ている電車の一つの路線(Midland線)の終点でもある。
家内と私はラインダンス仲間のオージー(Aussie)(オーストラリアの人)5人とミッドランドのロデオ大会を見物した。4月23日(土曜日)の夜である。その日は朝から天気はぐずついていたが、夕方近くなって快復し、昇り始めた満月がむら雲に見え隠れするようになった。
ロデオ大会の場所はベルビュー(Bellevue)のミリタリー・マーケット(Military Markets)の中にある。マーケットはグレートイースタン・ハイウエイ(Great Eastern Hwy)からクレイトン・ストリート(Clayton Street)に入り、線路を渡った左にある。
待ち合わせ時間、
午後6時45分のすこし前にパーキングに着いたので、会場入り口で仲間を待っていた。学校休みの期間であったので、見物に来る人々は家族連れが多く、カントリー・ハットをかぶりBootsをはいてかっこいいCowboy,Cowgirlスタイルの人が結構多かった。
入り口の左側にカントリー・グッズの店があり、ハット、衣装、靴、ベルトが売られていた。ベルトの飾り金具やベルトにかかれた模様や絵には楽しいものがあった。ここで売られているグッズはロデオ・ファンに関心のある品ぞろいのようである。
ロデオ会場の入り口の上に看板がある。Rodeo Arenaの表示である。会場に着くまで、Cowboyたちが暴れ牛や暴れ馬にまたがって、乗っている時間を競う土俵をなんと言うのだろうか?が、頭の中にあった。リング(Ring)が浮かんでいた。そうか、Arenaなんだ。辞書によると、語源はラテン語で、“(格闘技のための)砂地の意味”である。
入場料、15ドルを払って会場内に入ると、カントリー・ミュージックが流れている。ハンバーガーやポテトチップスなどの売店、各種ドリンクの売店の前を通り、ロデオの会場に着く。アリーナーは柔らかそうな砂が敷き詰められた長軸の長い楕円形、
長さ60−70m、幅は30−40mぐらいで、その周囲三方は見物客のスタンドになっている。私たちは長軸の片方の下から2段目に席を取った。見物席からアリーナー(Arena)の柵の間は2mほど。
やがて、7,8人のカントリー・スタイルの若い女性がアリーナーに入って、ラインダンスを始めた。オーストラリアではブーツ・スクーティング(Boot Scooting)と呼ばれている。良くそろった脚捌きである。やがて、国歌が流れ、全員起立。
アリーナの中で参加したライダーが紹介される。そして競技が始まった。
アリーナーの奥まったところは、競技に使用する牛や馬を縦列に入れるシェルター(shelter)が並んでいる。1、2、3、4、5、6と番号が書いてある。それに続いて競技者が退場するゲート、暴れ牛や馬を追い込むためのゲートがある。
競技に使う牛や馬は順次シェルターに送り込まれる。はじめに入った牛は6番、最後に入ったのは1番である。シェルターは狭いので牛や馬は窮屈そうである。暴れ牛や暴れ馬にライダー(Rider)が乗り、シェルターのゲートを開くための準備に何人かの人がかかっている。牛の腹から背中にロープを回し、その一端をライダーが持てるようにする。牛の中には、嫌がって座り込むのがいる。これを立たせるための人もいる。とにかくこの準備が大変である。ライダーが牛、あるいは馬に乗りこむ。間合いを計って、ゲートが開かれる。そして、荒れ馬、荒れ牛に乗っている時間を競う。
アリーナーの中にいる人は、ゲートを開く人、ライダーの名前・経歴、そして牛、馬の特徴を説明する司会者、それに競技が終わった暴れ牛、馬をアリーナーから退場させる人である。
暴れ牛の場合は、牛の注意を落馬したライダーからそらせるために、牛を自分の方に引き付けるための仕事をする道化風の顔や衣装を着けた道化が2人がいる。この人たちは、暴れ牛の習性を十二分に心得ているベテランであることが感じられた。
暴れ馬の競技では、ベテランが乗った馬が2頭いる。競技の終えたライダーが暴れ馬から乗り移るためと暴れ馬を退場ゲートに追い込むためである。この2人の乗り手の乗馬の巧みさ、連携プレーには感心させられた。
アリーナーの周囲は高さ2.5mぐらいの鉄製のフェンスで囲われている。フェンスは横桟の入った幅2mほどの鉄製の枠をつなぎ合わせている。横桟のピッチは30−40cm。これはリング内の人やライダーが暴れ牛、暴れ馬の突進から避けるために、フェンスの上に駆け上がるためである。
このフェンスの接続は多少の柔軟性(フレキシブル)を持たせている。隣り合ったフェンスは金具で2,3箇所接続されているが、暴れ牛や馬、あるいはライダーがフェンスに衝突してもフェンスは動き、衝撃のショックを和らげているのがわかる。フェンスの外側に、ところどころに太い丸太が打ち込まれていて、鉄製のフェンスが動いても、それを食い止めるようになっていた。
私はいつもポケットに小さなデジカメを入れている。メモ帳の代わりである。O社製のピクセル数(Pixel)が3メガのものである。内臓のフラッシュが弱いので、薄暗いところや動きの早い被写体を写すのは難しい代物である。また、3倍ズームを使うと、光量不足で、スローシャッターになり、ピンボケ写真になる。このロデオの写真を撮るためには、被写体に近づくしかない。
馬や牛が入れられているゲートに近い位置で写真を撮ろうとアリーナー沿いに通路の奥に行った。そこにフェンスを補強している丸太杭があったので、万一に備えてそれを楯にした。その位置から奥はロデオ大会をサポートするスタッフがいた。救急車が1台待機していた。なにしろ、ロデオではいつなんどき事故が起きるかわからないからである。
デジカメはシャッターを押しても直ぐにその場面が写らない。程度の差はあるが、写真フイルムを入れたカメラではこのようなシャッターの遅れは無い。それで、あらかじめ遅れを勘定にいれシャッターを押している。このタイミングの取り方が難しい。
何枚か写真を撮っているうちに気が付いた。
撮った写真の中に大小さまざまな丸い模様が画面いっぱいに写っている。最初、レンズに埃が付いたのか、と思った。実は、砂埃が舞い上がっているのである。それが、フラッシュの光で反射しているのである。近くで撮った牛やライダーの場面ほど、埃の影響が大きい。残念であった。
場内の司会者は各ゲートの準備具合を見て、次は何番ゲートの出番で、ライダーの名前や経歴、そして牛の名前を紹介する。牛の名前が面白い。Natural Disaster, John Wayne, TNT(黒色火薬のこと)Lots of Spot(白地に黒の斑点がたくさんあった)など。聞くところによると、ライダーは抽選で乗る牛や馬を決めるそうである。
私が撮影していた場所に一人の男性がいた。その人は手にストップウオッチを持っている。ロデオの計時係である。彼はときどき私にライダーの説明をしてくれた。曰く、4番ゲートはWAのチャンピオンである。あのライダーはオール・ラウンダー(All Rounder)―暴れ馬、暴れ牛に乗れる人―である。すこし離れたところのいた女性は、次に出場する少女のライダーのお母さんである。などなど。
この計時係の人はときどき私が楯にしている柱に取り付けられているスイッチを押している。すると“ボー”と牛の鳴き声に似た音が会場に響く。彼の説明によると、ジュニアはゲートが開かれてから6秒以上、一般のライダーは8秒以上乗っていないと判定されない(Disqualify)、とのこと。その時間を越えると、スイッチを押しているのである。
私たちのロデオ見物は2回目である。2002年1月、タムワース(Tamworth)(NSW州)でNational ChampionshipのSemi-Finalであった。大きな会場で、アメリカの大会にも参加している世界的なレベルのライダーも何人か出場していた記憶がある。暴れ馬や暴れ牛のライダーたちの素晴らしい乗りぶりに興奮した。
しかし、地方のロデオ大会も面白い。いろいろな乗り手別の種目、見世物がある。例えば、司会者がMadden Masterと紹介していたが、2,3歳の幼児が羊(顔が黒い種類)の背中にまたがって、その周囲に2人の道化が介添えしつつ走る。一目散に走るのやら、途中で止まるなど多種多様。これらは会場を和ませる。
少年、少女たちの競技では、ヘルメットをかぶり、胸と背中にプロテクターを着けて、子牛に乗ってゲートを出る。その勇敢さに観客は声援を送る。
牛や馬の態度や表情も面白い。司会者が1000Kgと紹介した牛はライダーを振り落として、ワインの醸造樽の形をした赤色の置物に激しく頭づきをする。2回、3回と。これがすごい迫力がある。そして、牛はしばらくアリーナーの中を走り回る。どうだと言わんばかり、見得をきった千両役者である。このような牛もしばらく走らせると、興奮が収まってくる。道化役の2人はタイミングを見て牛を退場ゲートに追いこむ。このあたりの呼吸が面白い。
馬の中には興奮が鎮まらず、激しくアリーナーの中を駆け回るのがいる。馬は速く動くので、2人の乗馬者が暴れ馬に沿ってアリーナーの中を駆ける。そして連携プレーで暴れ馬の気持ちを落ち着かせる。しかし、興奮が激しい馬の場合は新たに別の馬を場内に入れて馬の気持ちを静めていた。
ライダーはヒラヒラ飾り布が付いたズボンをはいている。片手でロープを持ちバランスを保ちつつ、暴れ馬や暴れ牛に乗る姿は勇敢である。馬の場合は馬が後足をあげてライダーを振り落とそうとする。牛の場合は左右に揺さぶってライダーを振り払うようにする。ライダーが暴れ牛から上手く離れればよいが、それは簡単ではない。ライダーはロープが手袋から離れ難くするために粘着剤を使っているからである。ライダーが地面に落ちたときは、砂地とは言え、衝撃は大きいようである。打ち所が悪いとしばらく起き上がれない。すぐさま大勢の係員が駆けよる。このようなことが1回あった。
約2時間半、競技やショーが続いた。最後はオープン競技である。WAの実績のある人が出場した。この人たちが一本の綱を片手に持ち暴れ牛の背中にまたがってバランスを取っている姿に感動させられた。
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